#01|日米がUAP情報開示で連携へ

UAP & JAPAN

UAP & JAPANシリーズ

日本のUAP政策、安全保障、科学、情報公開、そして国際協力の現在を追う。

米下院議員と日本のUFO議連が共同声明、国際協力が新段階へ

2026年9月16日、UAP(Unidentified Anomalous Phenomena/未確認異常現象)をめぐる国際協力に、新たな動きが生まれた。

米国のエリック・バーリソン連邦下院議員、日本の浜田靖一衆議院議員・元防衛大臣/UFO議連会長、浅川義治元衆議院議員・UFO議連会長補佐の3名が連名で、UAPの情報開示、安全保障、議会監督をめぐる民主主義国間の協力を呼びかける声明を発表した。

声明は米国のオンラインメディア「The Debrief」に、

“Democratic Allies Must Join Forces in the Race for UAP Disclosure”

(UAP情報開示に向け、民主主義国の同盟国は連携すべきである)

と題して掲載された。

今回の声明は日米両政府による政府間共同声明ではなく、米国と日本の政治家による共同オピニオンである。しかし、その内容はUAPをめぐる議論が「未知の物体の正体」を追うだけの段階から、安全保障、重要インフラ、先端技術、情報公開、そして民主的な議会監督へと広がっていることを示している。

米国で進むUAP関連資料の公開

米国では2026年、PURSUE(Presidential Unsealing and Reporting System for UAP Encounters)のもとでUAP関連資料の公開が進められている。公開資料には、米政府関係者による目撃報告、画像、映像などが含まれている。

共同声明はこうした公開を歴史的な変化として評価する一方、より根本的な問題を提起した。政府機関が保有するUAP情報に、選挙で選ばれた議員は十分アクセスできているのか。そして、「何を国民に説明すべきなのかを、行政機関だけが決定してよいのか」という問いである。

これはUAPだけに限定されない。国家安全保障に関わる機密情報と、国民に対して説明責任を負う議会による監督を、民主主義国家がどのように両立させるかという問題でもある。

日本でも問われる重要インフラ周辺のUAP

共同声明では日本で発生した事案にも言及している。

2025年7月26日、佐賀県の玄海原子力発電所の警備員が、施設周辺上空に3つの光を確認した。九州電力はこの事案について正式に公表している。警察による対応も行われたが、政府は飛来物の発見や特定には至っていないと説明している。ここで重要なのは、この光が「何だったのか」を憶測することではない。

重要インフラ周辺の空域で正体を特定できない現象が確認された場合、

誰が調査するのか。

どの政府機関が情報を集約するのか。

国会にはどこまで情報が提供されるのか。

同盟国間ではどのように共有するのか。

そして、どの段階で国民へ公表するのか。

こうしたガバナンスの仕組みそのものが問われている。

UAPから「Emerging Technologies」へ

今回の声明でもう一つ注目されるのが、Emerging Technologies Interparliamentary Caucus(ETIC) の存在だ。ETICは、UAPを含む新興技術や安全保障上の課題について、各国の議員が国境を越えて対話する国際的なプラットフォームである。

共同声明では、ETICを国際対話の場として活用し、各国の選挙で選ばれた代表者が潜在的な脅威を評価し、新興技術がもたらす21世紀の安全保障環境に備える必要性が示された。

この点は、今後のUAP政策を考えるうえで重要だ。

UAPの正体をあらかじめ決めるのではなく、未知の航空現象を、ドローン、AI、量子技術、次世代航空宇宙技術などを含む「Emerging Technologies」の安全保障問題としても捉える。そのうえで科学、情報機関、防衛機関、議会、同盟国間の情報共有体制を構築するというアプローチである。

日米協力は「情報開示」から「国際ガバナンス」へ

これまでUAP情報開示をめぐる国際報道は、米国議会の公聴会や政府機関の動きを中心に展開してきた。しかし今回、日本の元防衛大臣でUFO議連会長を務める浜田靖一氏らが米国の現職連邦議員と共同で国際協力を呼びかけたことは、日本がこの議論により積極的に関与していく可能性を示している。

UAPの正体については、依然として多くのケースで結論が出ていない。

既知の航空機、ドローン、センサー上の問題、自然現象などで説明できる事案と、十分なデータがなく未解明のまま残る事案を区別して扱う必要がある。

だからこそ今後重要になるのは、「UAPは何なのか」という一つの問いだけではない。

どのように観測するのか。
誰がデータを保有するのか。
誰が分析するのか。
議会はどこまで監督できるのか。
国民には何を公開するのか。
そして同盟国間で、どのように情報を共有するのか。

UAPをめぐる議論は、Disclosure(情報開示)からGovernance(ガバナンス)へと広がり始めている。

今回の日米の共同声明は、その国際的な枠組みづくりに向けた一つの重要な動きと位置づけることができる。

声明は最後に、こう結んでいる。

“The people of our nations deserve answers, and we intend to find them.”

「私たちの国民には答えを知る権利がある。そして私たちは、その答えを追求していく。」

今後、日本と米国の議員間協力がどこまで具体化するのか。そしてETICをはじめとする国際的な枠組みの中で、日本がどのような役割を担っていくのか。UAPをめぐる国際政策は、新たな段階に入りつつある。

UAP & JAPAN|シリーズ創刊にあたって

今回の記事を第1回として、SPACE FRONTIERは重点取材シリーズ 「UAP & JAPAN|日本とUAP」 を開始します。

日本ではUAPをめぐる議論が、安全保障、重要インフラ、科学技術、情報公開、議会監督、そして国際協力へと広がりつつあります。

SPACE FRONTIERでは、日本政府・国会におけるUAP政策、UAP議員連盟の動向、安全保障と重要インフラ、科学的研究とデータ、情報公開と議会監督、そして米国・欧州をはじめとする各国との国際協力を継続的に取材・検証していきます。

私たちの役割は、UAPについてあらかじめ答えを決めることではありません。一次情報と確認可能な事実を積み重ね、政策関係者、研究者、専門家への取材を通じて、

何が解明されているのか
何がまだ解明されていないのか
そして政府や関係機関は、この問題にどう向き合おうとしているのか

を伝えていきます。

UAPをめぐる議論は、「信じるか、信じないか」だけで語る段階から、調査し、検証し、議論し、政策とガバナンスを考える段階へと移りつつあります。SPACE FRONTIERは、日本から世界へ、その変化を継続して追っていきます。

関連資料

The Debrief — Democratic Allies Must Join Forces in the Race for UAP Disclosure(2026年9月16日)

エリック・バーリソン米連邦下院議員、浜田靖一衆議院議員・元防衛大臣、浅川義治元衆議院議員による共同寄稿。

浅川義治 — 日米の国会議員がUAP情報開示で共同声明(2026年9月17日)

共同寄稿に参加した浅川義治氏本人による日本語での発表。

U.S. Department of War — Presidential Unsealing and Reporting System for UAP Encounters(PURSUE)

米政府によるUAP関連資料の公式公開ページ。

防衛省・自衛隊 — 防衛大臣記者会見(2025年8月1日)

玄海原子力発電所周辺で確認された「3つの光」に関する防衛省の公式説明。

九州電力 — 玄海原子力発電所における「3つの光」に関する公式発表(2025年9月16日)

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